ごあいさつ

――「ごあいさつ」、好きなんですよ。

カネコ うん、私も好き。

――人の話を聞いているようで聞いてない、って「女の子あるある」だと思うんだけど、それを歌にしたソングライターはカネコさんぐらいじゃないかと。〈君のなんでもない話を聞くフリしながら〉全然別のことを考えているんだけど、〈今となりの君のまつげが落ちるのを 見逃さなかったよ〉。こんな曲は聴いたことがない。素晴らしすぎる!

カネコ あははははは。私は「なるほど、なるほど」って頷きながら、マジで聞いてないことが多くて。

――ところが、話は聴き流していても決定的瞬間は見逃さない。

カネコ そうそうそう。はっ! ホロリ、みたいな感じ(笑)。この瞬間だけを書きたかったんですよね。意味はないですけど。

――タイトルが「ごあいさつ」なのは、〈こんにちはって意外と言葉で言わない〉という歌詞の一節に対応して?

カネコ そうそう。この曲は最後までタイトルが決まらなくて、仮タイトルも特になくて、周りからの呼び名がバラバラだったんですよ。「栞」と呼ぶ人がいたり。

――〈消えたお気に入りの栞の行方も気にならないな〉という一節もすごいキラーフレーズ。本当は失くしものが気になっているはずなのに、〈となりの君のまつげが落ちる〉決定的瞬間を見逃さなかったことで幸せになったが故に、どうでもよくなるという。

カネコ そういうことはありますよね。この曲は結構いろんなところが気に入っている。そのまま書いただけですけど、〈今となりの君のまつげが落ちるのを 見逃さなかったよ〉というところも気に入っているし、〈でも救いも愛も信じていられると 毎日楽しいよ〉ということを書けたのも嬉しい。つい疑ってしまいがちだけど、ピュアに想っていればいいじゃないか、と思っているから。そういう気持ちを書けてよかった。この曲は本当に気に入ってますね。

――いつ頃生まれた曲なの?

カネコ 「Home Alone」より新しいかも。もしかしたら、一番新しいかもしれないですね。アレンジしたのも一番最後だし、できたてホヤホヤ。

――これが4曲目にあるのがよくて、曲順はバッチリだと思います。

カネコ 嬉しい! よかった~。曲順は本当に悩んだから。

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